今日も文字だけです。



あらすじ
「料理研究家を通して、昭和・平成の家庭文化、女性文化の変遷について丁寧に記されています。この本をとおして、なぜ「料理研究家」なる職業が発生したのか、またその変遷について代表的な人物の生い立ちや家庭環境をとおして詳細に書かれています。小林カツ代をとおして戦後日本の女性の社会進出について、栗原はるみをとおして女性のアイドルとしての「主婦」像についての着目点はユニークかつ丹念に描かれている良書となっています。」

数十年前(って大げさか?)一人暮らしを始めて一番最初に私がしたことは近所の図書館を調べ、料理本を山ほど借りたことだった。
それまでは、皮むきだの千切りだの米研ぎだのという一部はやったことがあっても「料理」という流れを体験したことがなかった。
山ほど借りてきた「料理本」から毎日お財布とにらめっこして、その日作るものを決めて買物に行った。
一番最初に作ったのは「鶏チャーシュー」で、お財布の都合でもも肉がむね肉になった。むね肉ともも肉の違いもよくわからなかった。
その他にしょうがとねぎとお醤油を買ってきた。
夕方、2畳の台所でぐつぐつぐつと肉を煮ていると近所からピアノの音やらフルートの音が聞こえてきた。換気扇を回すというのがわからなくて、部屋中がお醤油の匂いで一杯になった。
実家からもらった大きな大きなちゃぶ台に座って、ぱさぱさになった鶏のむね肉を「はぎはぎ」と食べた。あぁ、明日から自分でご飯を作って自分でお買い物に行くんだと思うと「はぎはぎ」とした鶏肉が口の中で踊っているみたいに感じた。
その山のような「料理本」の中に、「自信作」という大きな見出しの後「キャベコーン」というタイトルの不思議なレシピがあった。
キャベツをざく切りにして、コーン缶を必ず缶汁ごと入れて煮る、その他の調味料はいらない料理。コツの欄には缶汁を必ず使うこと、調味料を加えないこととあった。
煮えたキャベツは、甘くてやわらかくてうっとりするキャベツに変わっていた。
その後、そのレシピを書いたのが「小林カツ代」さんだと知った。

キャベコーンは、今でも1年に1回くらい無性に食べたくなる。
つい鶏肉とかいんげんとか入れたくなっちゃうけど、入れると「うっとり」としたキャベツにはならない。なぜだかわからないけど。
だから、今でもキャベコーンにはキャベツとコーン缶だけを入れる。
キャベコーンはしっかりと私の人生に根をはっている。

一日一押していただけるとちま子は幸せでございます(笑)


11月23日(祝、月)にまた本のイベントをやります〜

続きを読む